MEMEの日々のことども

日々の星屑を拾って書き残そう・・、そんな「85歳」。  HP「素材の小路」「MEMEのベランダ」(裸婦デッサン等)「MEMEの便箋」「ドレスの小路」「けいの部屋」など。

車中ウォッチング(2)夫婦のありかた

日暮里で用を済ませての帰りの車中。
この頃は躊躇なく腰かける「優先席」にどっかと座った私の前に、定年過ぎかな・・?と思われる夫婦が乗り込んできた。
ご主人が大きなボストンバッグを抱えていたから、きっと少し遠距離から出てきた帰りかな・・?と思われる。
常磐線にはいろんな快速があるが、今日乗ったのは「中距離快速」。



北千住あたりを通過する時、ご主人がきょろきょろ落ち着きなく窓の外をみていて、傍らの奥さんに「ほらほら! 電波塔(スカイツリー)が見えるよ!!  ほら! あ〜〜、ビルの陰になってしまった!   あ、建物の隙間から見えるから見てごらん!! あ・・、隠れた・・、あ!ほらほらここからだと全部が見えるよ」と嬉しそうにはしゃいだ声で、奥さんにひと目電波塔(スカイツリー)を見せようとしている姿が楽しい。



・・・・・・・・あぁそれなのに、それなのに・・・、奥様ときたら、「見なくていいの!」という顔でそっぽを向いている・・・。
折角見せてやりたいと騒いでいるご主人を避けて後ろの方に後ずさり・・・。

いよいよ本格的に大きく全容が見えるスポットに差し掛かると、ご主人、強引に彼女を窓際に引き寄せた。
よろめきながらも何とか外を見た彼女、そのスポットを過ぎると、今度は電車のドアの方に遠く離れて逃げてしまった。




とある駅で、運よく私の隣が空いた!
ご主人、自分が座る前に「おい!空いたぞ!」とおくさんに話しかけるも、「わたしゃ あんたとは関わりがござんせん」風のつんと澄ました顔でドア越しに外を見ている。
仕方なくすごすごと私の隣に座ったご主人・・・・。


今度は、「おい、その荷物をここへ載せろ」と奥さんに話かけるも、知らんぷり・・・。



そうこうする内に、ご主人の隣の席も空いた。
「おい、ここここ!」とドアの前の奥さんの服を引っ張って強引に席に誘う。
さぁ、これでご夫婦目出度く隣り合って座れたぞ・・・。  (~_~;)






・・・ふと気付くと、私の最寄駅到着。




降り際にちらりとご両人を見ると、奥さんがガムだか飴だかの紙を剥いてご主人に差し出しているところだった。



ふふ、やっぱり仲良しご夫婦なのね!
電波塔を初めて見て舞上がっているご主人がちょっと恥ずかしかったのね・・・。




何だかふんわりとした気分になってホームに降り立ったことだった。