MEMEの日々のことども

日々の星屑を拾って書き残そう・・、そんな「85歳」。  HP「素材の小路」「MEMEのベランダ」(裸婦デッサン等)「MEMEの便箋」「ドレスの小路」「けいの部屋」など。

シャツの衿

  • いつもシャツを縫うとある事を思い出す。

それはもう25年も前の事だけれど、必ず思い出す。
あるデパートの催しの「一坪ショップ」というものに応募、自分のブースを二週間借り、自作の作品を自分で売る・・・というもの。
毎年参加し、お陰さまで毎回大盛況の私のブース。売るものが無くなって大騒ぎで夜なべで作って並べたり・・と、楽しく過ごしていたある日・・・。


チラチラと何か目線を感じるなぁ・・・と思っていたら、あ、人影から、つ・・と私の脇に寄ってきたある40前後のご婦人がぴたりと私の体に寄り添ってささやいた。

「Yシャツの衿のココが下手!」

えっ・・と仰け反る私を尻目に、さっと通リ過ぎていこうとする彼女にすがる様に私が言った言葉、「どうすれば上手くいきますか?」
その後の彼女の一言で私は目が覚めた!!

「自分で研究なさいな」

その後の私の生き方の全てがそこで決まったような気がする。
「分からなかったら自分で研究する」「安易に人に教えを請うな」
実際、自分でこつこつ試行錯誤したものは絶対に忘れない。

  • そんな姿勢を授けてくださったそのご婦人は風のように消えてしまったが、私の心に「クサビ」を打ち込んで行った。

その瞬間は、あっけに取られたのと、むくむくと「悔しさ」が込み上げて来たのも事実。
最高売り上げを誇っていた私の作品ブースなのに・・と、涙をこらえるのがやっとだったのも事実。

でも違う・・・!慢心していた私の心に水を掛けてくれたのだと思おう・・・と思った。


うぅ・・、今でもやっぱり悔しさと共に感謝の気持ちを持ちながら、私用の「LL」のYシャツを縫っていた一日だった。 (>_<)