家人が「やまぶき」の花を一枝持ってきてくれた。
この花の一見華やかな黄色の花色から伝わってくる筈の「明るさ」が、どうしても曇って感じてしまうのは、「七重八重 花は咲けども山吹の 実の一つだに無きぞかなしき」の太田道灌の古歌を思いだしてしまうからだと思う。
★ ある日、鷹狩に出かけた若き日の太田道灌が、にわか雨に遭遇して村のあばら家で蓑を借りようとしたところ、出てきた少女は無言のまま、山吹の一枝を道灌に差し出した。道灌は怒ってその場を立ち去ったが、あとで家臣から、少女の行為は「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」という古歌に寄せて、蓑のひとつさえ持てないかなしさを山吹の枝に託したものだ、と聞かされて自分の無学を恥じ、それ以降歌道に精進した・・・。
という話・・・。
こんなに明るく美しい「やまぶき」の花なのに、常に後ろの「哀しさ」が先だって伝わってくるのは、何だかとっても可哀想な花のように感じる。
きれいですよ!