今日の「ことども」を開いてみたら、下の方に表示された「過去の記事」にこんなものが出ていた。
★-----------------------
2008年11月25日の記事 ↓
母「けい」の絵が教材に
昨日、ある看護学校の先生(Kさま)からの久しぶりのメールが舞い込んだ。
Kさまは、平成17年にも「けい」の老後の生き方について看護学校で紹介して下った方。
メールの内容は・・・。 ↓ というもの。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「看護学校で母性看護学概論を教えていますが、「老年の概念」を変えたい。
けいさまのいくつかの絵や、MEMEさまのPCの取組等を紹介させてもらいたい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・つまり、再度、「けい」の老後を授業でご紹介くださるとのお言葉!
逝ってもなおこうしてお目に留めてくださる方がいらっしゃることに感謝!
新潟での個展の看板。
副題を「老いの生き甲斐の記録」とした。
一周忌を過ぎ、心新たに計画したもの。
70歳から始めた油絵を、93歳まで描き続けた
母「けい」の作品と、娘のMEME(70歳)の
パステル画の「親娘展」を08年4月に開催。
個展会場の「母子像」には、兄からの花が添えられて。
海へ続く小路
雪景色
初めて見る富士
朝市の女性
-----------------------------------
生前から実現したかった「母の個展」。
やっと実現したのは一周忌が過ぎてからだった。
恥ずかしがりやの母が言い続けた「私なんかが」に負けて、実行出来なかったもの。
・・・・でも、沢山の方が来て見てくださり、
「老後」の生き甲斐について心に留めて下さったご様子に、思い切ってやってよかった!と思いました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
母性看護学を教える立場から、更年期以降の生き方の一つのケースとして、「けいとMEME」の生き方を授業でご紹介くださるとの事、本当は恥ずかしいのだけれど、先日の絵の個展「けいとMEMEの親娘展」のサブタイトルにも書いた「老いの生き甲斐の記録」を、このような場でご紹介くださる事は本当に意味のある事だと思う。
母は、「70歳」にして初めて手にした油彩絵の具を亡くなる数年前まで握り続け、描き続けた。
夫を亡くしたばかりの空虚感を埋めるには絶好の趣味を見つけたことになる。
70歳・・・といえば、初めての事に挑戦するには躊躇もあるかと思うが、長年思い続けた「絵」への関心がイザ花開いたという感じで、生き生きと描き続けた。
描く・・・という行為は、別の意味でも人生を側面から華やがせてくれる。
つまり、描こうと思う対象物をじっと見ることで、その奥にある「輝き」を見つけられるのだ。
何気ない散歩でも、道端にこっそり生えている雑草に見入ったり、空の色を観察したり、今まで気が付かなかった事に感動が生まれる・・・と言っていた。
油絵と平行して、短歌や俳句も自己流に楽しみ、沢山の歌を書き綴った。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
再びは かなわざりける思い出を
心の旅路行きつもどりつ
★
太陽に 我が手かざせば ほの赤き
血潮 いまだに うせぬよろこび
★
縁日で 亡夫(つま)ともとめし錦鯉
戸を繰る度に口あきてまつ
★
今日こそはと 氣負いて向かうキャンバスも
筆侭(まま)ならず今日も暮れ行く
★
こもごもの過去(すぎこし)たたむアルバムに
溢るる思い刻(とき)を忘らす
★
嫁せし娘の 近況知らす便箋に
萩の押し葉のはさまれてあり
★
成す事の 今成さざるはと逸(はや)れども
限りある身はとどめ置かれず
★
冥土(よみ)にある 母に重なる我が顔の
鏡の中をしばし見入りぬ
★
振り見れば けわしき道の幾山河
自愛の心古りて勝り来
★
新しき 年に備えて鉢の梅
日向の縁で霧吹きてやる
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「けいの部屋」より
そんな母「けい」も逝き、間もなく二年目を迎える・・・・。
この度はからずも、看護学校の「母性看護学」の授業に、そんな「けい」の絵をご紹介頂けることになり、心から感動している。
更年期を乗り越える・・・、高齢を生きる・・・、孤独を生きる・・・、病いを生きる・・・、いろんな人生があると思う。
そんな、「マイナス意識」に満たされた時間でも、心一つで、豊かな宝庫を掘り出せるチャンスかもしれないことを、少しでもお伝え出来ればこれに勝る幸せはない。
そういう私も、間もなく「71歳」を迎える。
母の「教訓」が無ければ、「あ〜ぁ」という気持ちに押し潰されたかもしれない。
でも、私も「さぁ!これからだ!」という思いで一杯だ。
つまり、趣味の延長で作り続けた舞台ドレスの「ドレスshop」を開く計画なのだ。
こつこつ作った、世界で一枚のドレスを、お気に召した方にお召し頂き、クラシックコンサートの舞台で輝かせて頂くこと! 今までとは違い、じっくり好きなデザインで好きな時に好きなドレスを作る・・・!
楽しい時間になるに違いない!・・・・・・と。
そうは言っても、ドレスを作るのはハードな仕事。
いつまで続けられるか分からないけれど、「楽しい」と思える間は続けてみよう。
それが体力的に無理になったら、絵を描こう。
勿論、「裸婦デッサン」の勉強は今のまま継続していくつもりだけれど、ドレス生地を扱う間は「油彩」は我慢・・・なので、ドレスを辞めた時から、油絵を解禁しよう。
それもきつくなったら、エッセーを書いたり、本を読んだり・・・・。
やりたいことが目白押し!!
などと・・・・・・、今はまだ「若いつもり」の私なので、言いたい放題、胸を膨らませているけれど、そのうちの何パーセント実現出来るかは分からない。
でも、「やりたいこと」があるのは私のこれからの宝物。
何にも要らないから、気力・体力・それにこの程度の頭脳の維持・・・を、神・仏さまにお願いしよう。
昨日からの「微熱少女」は、「鼻風邪ぐしゅぐしゅおばあさん」に進歩し、むくむくに重ね着をしてPCの前。
まだ書きたいことが一杯なのだが、今日はもう寝よう・・・。
明日また続きを書こうと思う。
・・・自分だけ力んでいるみたいで可笑しいな・・・。 でも書こう! (>_<)
すっかり忘れていた出来事だった。
え・・・?そんな事が有ったの・・・?という不思議な気分で13年前の出来事を読み返してみた。
そうそう・・・、この「けいの部屋」は、母が生存中に福岡の新聞でも取り上げて下さって、嬉しく母に報告したものでした! (^O^)/
一介の90過ぎのおばあさんが描いた「油絵」「短歌」を、娘が拙い文章で紹介したホームページ【けいの部屋】を、こんなに色々な方がお心に留めて下さったなんて・・・と、申し訳けない気分でした。
あるれっきとした【画家】さんが、「けいさんがお描きになるこの絵には、どんな画家も適いません。心の中からほとばしり出たもので、技術がどうの、表現がどうの・・ということを超越した、絵の原点です。こういう絵が描けるけいさんが羨ましいです」との気が遠くなるようなお言葉も書きこんで頂きました。
考えてみれば、母が70歳から油絵を独学で始め、私も58歳から「デッサン」をゼロから始めるなんて、やっぱり親子なのね・・・と不思議に思えてくる。
医家に生まれた母の周りには、「絵」や「趣味」というほんわかする空気は無かったものと思いこんでいたが、何と、後で知ったことながら、祖母や叔父、従兄弟、従兄弟の子など、脈々と「絵心」を滲ませた生活を送っていた方々の存在を知り、びっくりしたことだった。
医院の采配をキリキリとこなしていたという祖母の「木目込みの美しい姿態の女性像」の作品を近年になって見た時は、心からびっくりしたものだ。
というのは、私の母の口癖「私達兄妹は母の膝に座らせてもらえない幼年時代を過ごした」と言うほどの忙しさの中で、子供達は一人一人に母代わりの人が付いて育ったらしい。
そんな「男勝り」な祖母が、きめ細やかな美しい作品を作っていたなんて・・・。
私の母「けい」の最晩年、入院中の病室で夜中に「おっかさまぁ~~~!」と呼び続けて他室に迷惑を掛け、退院させられたらしい・・・と聞き、当時100歳にもならんとする母なのに、隠されていた自分の母(祖母)への思慕の情が噴き上がってのことだと胸がキュンとしたものだ。
「私は母の膝の温もりを知らないで育った」と、祖母への愚痴を時折口にしていた母なのに・・・。
そんな忙しい祖母が作った「木目込み」の女性像・・・。
目が点になった。
そして、これも近年知った「叔父」の絵・・。
医院の建物や、ちょこっとしたスケッチなどだけれど、医者の仕事の合間にこんな事をしていたのだ・・と思うと、早世された人生が何とも惜しい。
どれもほんの微小な「絵ごころ」の発露だけれど、そんな時間があったことさえ不思議な忙しい人達の残した「わくわくした心」が読み取れて、妙にうれしいのだった。
私の凡々とした人生81年で、辿り着いた絵心の、何と稚拙なこと・・・。
そういえば、従兄弟の「彫刻」は趣味を越えた力作揃いだし、他の従姉は絵の先生をしているらしい。
他の従兄弟もずっと油絵を描き続け、裸婦デッサンなどもお見事でびっくりしたものだ。
こうして振り返ってみると、私の親戚には結構「絵ごころ」のある方が多いことが思い出される。
私や、母「けい」のように、人生の終わりに近くなってから慌てて思いだしたように取りかかるヒトもいるけれど・・・。 ( *´艸`)
そうだ・・・、私もう一騒ぎガンバロウ!!
きっと、底に流れる何かが私の心を揺さぶり続けているのだろうから・・・。
微小な微小な「描きたいわくわく」を大切にしよう・・・。