MEMEの日々のことども

日々の星屑を拾って書き残そう・・、そんな「85歳」。  HP「素材の小路」「MEMEのベランダ」(裸婦デッサン等)「MEMEの便箋」「ドレスの小路」「けいの部屋」など。

プロフェッショナル 仕事の流儀 テーラー鈴木健次郎

今日のNHKの「プロフェショナル」は、パリで活躍するテーラー「鈴木健次郎氏」を取り上げていた。

ここまでくるには、パリという街で遭う「人種差別」的な心理的なダメージもあったが、それを推してなおこの街で開業を成し遂げた根性と勇気と実力には拍手!だ。


http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2013-12-09&ch=21&eid=30171&p=1&f=284


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花の都”パリで名をはせる新進気鋭のテーラー・鈴木健次郎(37)に長期密着。仕立てるスーツは「モダン・ダンディ」と称され、一着50万円から数百万円するにもかかわらず、客からの注文が絶えない。この夏、念願の店を構えた鈴木のもとに、大物弁護士からやっかいな依頼が舞い込んだ。ファッションにうるさいパリジャンをうならせることはできるのか。異国の地で闘う、若きプロフェッショナルの情熱を活写する。

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同じ仕事(天と地ではあっても一応はオーダーの仕事)に携わる私には、うん・うん!と頷けるような台詞が身に染みて、涙さえ出て来た。

「見れば見る程気になる処が次々出てきて、これで良い・・というところまで行くのが大変」とか・・・。
もはやベテランともいえるテーラーに登り詰めた筈の彼でさえ、やっぱりそういう台詞が出るのだ・・ということに、少し彼の人間味を見出して、愛おしくなってしまった。



どの仕事でもそうだと思うけれど、遣ればやるほど奥が深くて、「完璧」がどんどん奥に逃げていく。
自分で情けなくなる時もあるけれど、これは多分、何処までいってもこの気持ちは消せないのではないかと思う。


既成服のように、服に自分を合わせて着るという心構えで手に入れるのとは違う分野での仕事だから、「私だけの一着」というこだわりに応えなくては成り立たない。

例え、私のように「趣味が嵩じて実用になってしまって・・」という軟弱な姿勢で、ペイは度外視している私としても・・・。



だから、一人一人違う体型・年齢・好み・着用する場の事情・曲・・・などなどに心を砕いて、気持ちよく舞台を務められるように背中を押すのがオーダーの「舞台ドレス」だと思うから、一着一着に籠める思いは熱いものがある。


そうして、「気持ちよく舞台が勤められました!」というお知らせを頂いた時が何よりうれしい瞬間だ。


そんな「作り手しか分からない気持ち」を如実に吐露する鈴木氏の仕事ぶりを拝見し、「うんうん、分かる!!」と頷いて見ていた時間だった。


そろそろオーダーのドレスから離れようかな・・?と弱気になっている最近の私。
でも、パリで悩みながらも頑張っている鈴木健次郎氏の健気な姿勢を見ていたら、胸に迫るものを感じた。

良いものを見せて頂いた!!!
頑張れ! パリの日本男児!!!






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